2024/01/05 コラム
ZEHレベルの断熱性能の基礎と、知っておくとトクする断熱性のポイント
新築を検討していると、必ずと言ってもいいほど出てくる断熱性について、基本的なことから、知っておくべきポイントを解説していきます。
UA値や断熱ってわかりにくい、と思っている方も、こちらの記事を参考に、ぜひご自身に合った性能を考えてみましょう。
今回は断熱性能について、知っておくとトクするポイントを紹介していきます。
断熱性能の基本的なことや、ZEH(ゼッチ)の基準を分かりやすくお伝えしながら、断熱性能の目的と実際の効果まで解説していきます。
昨今、高断熱な新築・住宅会社が増えていますが、どこまでの性能が必要なのか?も含めてしっかり見極めましょう。
それでは、まず今回の記事のポイントです。
・断熱等級は7段階あり、2025年に義務化される断熱性能は等級4(愛知ではUA値:0.87W/㎡・K以下)、2030年に義務化される基準は断熱等級5(愛知ではUA値:0.6W/㎡・K以下)
・長期優良住宅やZEHの基準を満たす断熱性能は、断熱等級5(愛知ではUA値:0.6W/㎡・K以下)
・断熱を上げる効果としては、冷暖房費の削減と快適性の向上があるが、実はZEHレベルの断熱性能で「頭打ち感」が出始める
・総合的におすすめな断熱性能は、ZEH以上~HEAT20・G2前後 |
1. 断熱性能とは
新築を検討し始めると、よく出てくる用語である「断熱」とは一体なんなの?
基本的なポイントからみていきましょう。
1-1. 断熱性能とは
断熱性能とは、家の保温性を示す指標で、家づくりにおいて重要なポイントの1つとなっています。
断熱性能は、7段階の指標で分類されており、等級の数字が高くなるほど、断熱性能(=保温性)が良くなっていきます。
UA値という数値で表現されるときもあり、住宅会社の性能を比較する際に使われることもあります。
2023年時点で、断熱性能は家を建てる時の「必須用件」ではなく、あくまで努力義務として、目指すべき性能とされています。
2025年には、この断熱性能に関わる部分が法律で義務化され、7段階あるうちの上から4段階目である等級4(愛知ではUA値:0.87W/㎡・K以下)が義務化されてきます。
しかし、この断熱等級4では補助金の対象にもならないため、昨今は多くの住宅会社でZEH以上の断熱性能が標準となりつつある現状です。
1-3. 2030年に義務化される断熱等級5
さらに先の2030年に義務化される基準は、断熱等級5(愛知ではUA値:0.6W/㎡・K以下)とされており、もう1段階高い断熱性能が必要になってきます。
長期優良住宅やZEHと呼ばれる、高性能・高耐久な家としての基準を満たす断熱性能は、この断熱等級5(愛知ではUA値:0.6W/㎡・K以下)とされています。
しかし、新築であれば暖かい家なのでは?と思う方も少なくないのではないでしょうか。
そもそも、断熱性能を上げる理由を見ていきましょう。
2. 断熱性能を上げる理由
断熱を上げる効果としては、冷暖房費の削減と快適性の向上の2つのポイントがあります。
2-1. 高断熱の効果:冷暖房費の圧縮
1つ目は、冷暖房費の節約につながります。
断熱性能をあげること=保温性を上げることになりますが、少しの冷暖房エネルギーで部屋の中が快適になるわけです。
そして少ないエネルギーで設定温度まで到達することから、保温性すなわち断熱性を上げることで冷暖房にかかるエネルギーが少なく済みます。
1年間で使うエネルギーの約4分の1が暖房となっており、全国的には比較的温暖な愛知県でも冬は暖房によって電気代が高くなります。
断熱性能を上げることで、光熱費の節約につながります。
2-2. 快適性の向上(温熱環境の均一化)
もう1つの効果としては、快適性の向上があります。
断熱性能が一定以上の家は、足元から暖かく、床暖房などに必要以上に頼らなくても夏・冬と快適に過ごすことができます。
出典:YKKAP株式会社
実は、23年時点の国が設定している断熱等級4では、床面などが冷えやすく、足元から冷たさを感じやすくなります。
そうすると必然的にエアコンの温度をあげたりすることでエネルギー消費が増える、もしくは温度ムラであまり快適とは言えない温熱環境になりやすいです。
3. 高断熱による効果を考える
ここでの注意点は、実は等級5前後の断熱性能で、光熱費の削減額に「頭打ち感」が出始めたり、快適性を体感できる「限界」がきます。
断熱性能を上げれば上げるほど、メリットが高まることがわかっています。
しかしZEH調査委員会の調査では、断熱等級5程度の住宅に住んでいる方と、等級6~7に住んでいる方で、冷暖房の効きに満足している割合はいずれも85%を超えています。
等級7になれば95%程度の方が満足している結果になっているものの、もはやその差は10人に1人程度の差となっています。
3-1. 断熱性能による光熱費の削減額は?
断熱性能ごとに冷暖房費の “ リアルな削減額 ” がどれぐらいなのか?を見ていきましょう。
2030年の義務化レベルである、断熱等級5を基準にしてみましょう。
断熱等級 |
冷暖房費 |
年間の削減額 |
建築費 |
等級5 |
72,131円 |
±0円(基準) |
ー |
等級6 |
67,856円 |
▲4,275円 |
+いくら? |
等級7 |
55,957円 |
▲16,174円 |
+いくら? |
※YKKAPのカタログ抜粋
断熱等級5→6に上げたとしても、年間で削減できる電気代はわずか約4,000円という結果になっています。
冷房・暖房を年間で6ヶ月使ったと仮定すると、月の冷暖房の削減額は約700円になります。
等級7まで断熱性能を上げても、月額で約2,650円の削減となっています。
冷静に考えると、意外と安い金額ではないでしょうか。
3-2. 建築費がいくらアップするの?
断熱性能が高ければ、冷暖房費も圧縮して快適性も向上しますが、建築にかかるコストも上がります。
もちろん、性能が高い家は素晴らしいですが、みなさんの財布事情と効果とのバランスをしっかり見極めることをおすすめします。
4. まとめ
今回は断熱性能についての基本的なポイントを解説しました。
数字で比べると、単純に断熱性能の数値を追い求めてしまうことになりかねません。
長期優良住宅やZEHなどの優遇制度や補助金まで考えると、ZEH以上の断熱性能がおすすめですが、どこまで求めるか?については建築コストも考慮に入れながら検討していきましょう。
断熱性能を高める目的、そしてその効果と建築コストとのバランスが大事です。
4-1. 大信では建売も断熱性能にこだわっています
大信では、上記を踏まえて「愛知県で最適な断熱性能」にこだわっています。
個々の物件でコンセプトを設定して建売を建てているため、断熱他の性能値は個々の物件で異なってきます。
気になった物件があった方は、この断熱性能などもぜひお気軽にお問い合わせください。